土地を売却したときには、印紙税や登録免許税、そして所得税など、様々な税金がかかります。

 

今回はこれら税金の中でも、金額が大きくなる可能性のある、所得税について取り上げます。

 

この所得税、じつは特別控除という特例を使うとゼロに、または小さくできる場合があります

 

この記事を読むと、所得税の原則的な計算方法と、特例を使った場合の節税効果を知ることができますよ。

 

この記事でわかること
  • 土地売却時の2種類の所得税
  • 譲渡所得税
  • 譲渡所得税がゼロになる場合
  • 譲渡所得税の税率を区分する年数
  • 復興特別所得税
  • 特別控除の種類と効果

 

土地売却時には2種類の所得税がかかる

土地を売却したときには、譲渡所得税と復興特別所得税の2種類の所得税がかかります。

 

2つの所得税
譲渡所得税復興特別所得税

 

それぞれの計算方法についてはこのあと説明していきますが、まずは2つの所得税がある、ということを覚えておいてください。

 

 

まず、譲渡所得税。

 

これは、土地売却によって出た利益に対してかかる税金です。

 

具体的には、利益に対して所得税住民税がかかります。

 

この所得税住民税とをあわせて、一般的には譲渡所得税と呼んでいます

 

次に、復興特別所得税です。

 

これは、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するためにかけられる税金です。

 

なお復興特別所得税は、平成25年から平成49年までと、期間が限られています

 

譲渡所得税【土地売却】

 

ここからは、2つの所得税について具体的に計算方法をみていきましょう。

 

まずは、譲渡所得税の説明からはじめますね。

 

『利益』がない場合は発生しない

先に、譲渡所得税は『土地売却によって出た利益に対してかかる税金』だと説明しました。

 

利益に対してかかる税金ですから、利益がなければ税金もかかりません

 

このことは、次に示す譲渡所得税の計算式をみると理解できます。

 

譲渡所得税の計算式
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率

 

この計算式で、「譲渡所得」というのが「利益」にあたります。

 

つまり、利益がない、ということは、譲渡所得がゼロ、だということです。

 

譲渡所得税は譲渡所得に税率をかけて計算しますから、譲渡所得がゼロの場合、ゼロにどんな数字(税率)をかけても、譲渡所得税はゼロになる、ということです。

 

譲渡所得税は土地の保有年数で税率が変化

譲渡所得税の税率は、その土地を何年保有していたかによって2つのタイプにわかれます。

 

譲渡所得税には2つのタイプがある
長期譲渡所得税短期譲渡所得税

 

長期譲渡所得税

土地を売却した年の1月1日時点で、土地の保有期間が5年を超える場合に適用されます。税率は、所得税15%住民税5%です。

 

短期譲渡所得税

土地を売却した年の1月1日時点で、土地の保有期間が5年以下の場合に適用されます。税率は、所得税30%住民税9%です。

 

この説明でわかるように、長期と短期で、税金が倍近く変わるということですよね。

 

特に保有期間が5年前後の土地については、すぐ売るのか、年を越してから売るのか、売却時期の選び方しだいで、税額に大きな差が生まれることになります

 

節税の意味から、とても重要な制度ですので、土地の売却のときには常に念頭において判断してくださいね

 

実際に譲渡所得税を計算してみる

 

先に、譲渡所得税の計算式をご紹介しました。

 

その中で、利益にあたるのが「譲渡所得」だということは理解していただけましたね。

 

さて、この「譲渡所得」、これ自体はどのように計算するのでしょうか?

 

譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 譲渡価額 - 譲渡費用 - 取得費

 

この計算式で、「譲渡価額」というのは「売った値段」のことです。

 

また、「譲渡費用」は「売るためにかかった費用」です。

 

最後の、「取得費」は「買った値段」と「買うためにかかった費用」を足した合計です。

 

なお今回は、譲渡所得税の種類と計算方法を把握することが目的になります。

 

譲渡費用や取得費に、具体的にどのような費用を計上できるかについては、この記事の最後に紹介している記事や、国税庁HPでご確認ください。

 

以上から、先に説明した譲渡所得税の計算式は、このようになります。

 

譲渡所得税の計算式
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率 = (譲渡価額 - 譲渡費用 - 取得費) × 税率

 

譲渡所得税の計算式が完成しましたね。

 

それでは2つのケースをあげて、実際に譲渡所得税を計算してみましょう。

 

 

どちらのケースでも、譲渡価額は1億3,000万円譲渡費用は400万円取得費は9,500万円であったとします。

 

 

ケース1 売却をした年の1月1日現在の保有期間が4年11ヶ月の土地を売却した場合

 

保有期間が4年11ヶ月ですので、短期譲渡所得の計算になりますね。

 

短期譲渡所得の所得税率は30%、住民税率は9%ですので、

 

 所得税 = (1億3,000万円 - 400万円 - 9,500万円)× 30%

= 3,100万円 × 30% = 930万円

 

所得税の計算で譲渡所得が3,100万円だとわかったので、住民税の計算ではこれを使って、

 住民税 = 3,100万円 × 9% = 279万円

 

以上の計算から、短期譲渡所得税は所得税930万円と住民税279万円の合計額、1,209万円となります。

 

 

ケース2 売却をした年の1月1日現在の保有期間が5年1ヶ月の土地を売却した場合

 

保有期間が5年1ヶ月ですので、長期譲渡所得の計算になりますね。

 

長期譲渡所得の所得税率は15%、住民税率は5%です。また、ケース1で譲渡所得は3,100万円だとわかっているので、

 

 所得税 = 3,100万円 × 15% = 465万円

 

 住民税 = 3,100万円 × 5% = 155万円

 

以上の計算から、長期譲渡所得税は所得税465万円と住民税155万円の合計額、620万円となります。

 

 

ケース1とケース2で、長期と短期の譲渡所得税を計算してみました。

 

他の条件がまったく同じで、保有期間が2ヶ月違うだけでしたね。

 

1,209万円と620万円、その差589万円です

 

実感として、土地を売る時期の大切さがわかっていただけたのではないでしょうか。

 

復興特別所得税【土地売却】

 

先に説明したように、復興特別所得税は東日本大震災からの復興の財源にあてるために課される税金です。

 

計算自体は特に難しくはありませんが、復興特別所得税はなかなか認知されていないようです。

 

復興特別所得税があることを忘れないようにしてくださいね。

 

復興特別所得税の計算方法とは

 

復興特別所得税の計算はとてもカンタンです。

 

復興特別所得税の計算式
復興特別所得税 = 譲渡所得 × 2.1%

 

復興特別所得税は、何度も言いますが、忘れないことが大切です。

 

忘れないために、最初から、元々の所得税率に復興特別所得税の税率を足して考えておくことをオススメします。

 

長期譲渡所得の所得税率は15%、短期譲渡所得の所得税率は30%でしたね。

 

それぞれに2.1%を足して、

 

長期譲渡所得の所得税率は17.1%、短期譲渡所得の所得税率は32.1%だと考えておくと、正しく納税金額の予定を立てることができますよ。

 

特例による特別控除を利用する

 

譲渡所得に税率をかけて所得税額を算出する、という基本はバッチリですよね。

 

そして、税率を小さくするには長期譲渡が有利だということも説明しました。

 

しかし、もっと節税できないものかと考えますよね。

 

じつは、譲渡所得から一定の金額を引いてから計算できる、特別控除という制度があります。

 

この制度の条件にあてはまれば、大幅に税額を減らせる、もしくは税金をゼロにできる可能性があります

 

 

特別控除にはいくつかの種類があります。

 

  1. 公共事業などのために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除
  2. マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除
  3. 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除
  4. 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除
  5. 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除
  6. 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除

 

これらの特別控除の説明中、太字とマーカーで記載されている金額が、譲渡所得から引くことのできる金額です。

 

それぞれの特別控除を使うための条件については他の記事もしくは国税庁HPに譲りますが、とても大きな金額を譲渡所得から引くことができるということがわかりますよね。

 

たとえば、②のマイホームを売った場合の3,000万円の特別控除を使うと、譲渡所得が3,000万円までの土地売却は譲渡所得税がゼロになる、ということです。

 

また、条件にあてはまっていれば、①から⑥の順番で、控除の合計額が5,000万円になるまで、複数の特別控除を適用することができます

 

このように特別控除は大きく節税できる可能性がありますので、ぜひ活用してくださいね。

 

土地売却の所得税は2種類! まとめ

 

今回は土地を売却したときの所得税について説明してきました。

 

所有期間や特別控除の活用によって、所得税の額が小さくなったり、ゼロになったりすることがわかりましたね。

 

節税は、「国が税金を少なくしてあげようという意図をもって準備した制度」を活用する、ということですから、積極的に取り組むべきです。

 

ここで得た知識を有効活用して、節税に成功してくださいね!

 

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